5月の女神の涙：エメラルドの輝きと歴史に潜む秘話

美しいグリーンの輝きで知られる5月の誕生石エメラルド

エメラルドは「ベリル」という鉱物の中の一つの宝石名で、ベリルの色によって宝石の名前が変わります。みなさんご存知のアクアマリンやモルガナイトもその一つです。

歴史上の伝説や逸話も多く、古くから人々を惹きつける神秘的な宝石です。

・エメラルドの特徴

・エメラルドの歴史

・エメラルドカット

・エメラルドのお手入れ

エメラルドの特徴

エメラルドは内部に傷のような内包物が多く、これは天然の証にもなっています。
中には内包物が少ないエメラルドも存在しますがとても価値が高く、透明度が高く明るく濃い緑色のものほど高価です。

天然のエメラルドはほとんど内包物が入っているので、これらを樹脂やオイルに浸して傷を隠す処理が一般的で、このような処理は天然として認められています。
この処理は内包物を見えにくくするだけでなく、内包物による割れやすさを回避し耐久性をアップさせる効果もあります。
稀に処理を行なっていない天然で内包物の少ないエメラルドは「無処理」や「ノンオイル」と記載されることが多く、このような記載がない場合はほとんどが処理済みのエメラルドです。

エメラルドの歴史

エメラルドの語源は「緑色の宝石」を意味する「smaragdos（スマラグドス）」で次第に発音が変化して現在の「emerald（エメラルド）」になりました。

エメラルドの最大の魅力は「エメラルドグリーン」といわれる美しい緑色です。
その神秘的な美しさゆえに昔から人々に愛されているエメラルドは古代ローマや古代ギリシャで「ヴィーナスに捧げる宝石」として崇拝されていました。

アレキサンダー大王は戦いの時には必ず自分の守護石として大粒のエメラルドを身につけていたそうです。

絶世の美女と言われる古代エジプトの女王クレオパトラもエメラルドをこよなく愛していたことは有名です。
エメラルドジュエリーで着飾るだけではなく、粉末にしたエメラルドをアイシャドウにして化粧にも使用していました。
美しいグリーンの魅力に取り憑かれたクレオパトラは自身の名をつけた鉱山「クレオパトラ鉱山」を所有していたほどです。この鉱山は1818年にフランス人によって発見され実在が証明されています。

エメラルドカット

内包物が多く割れやすいエメラルドのために考えられたのがエメラルドカットです。

エメラルドの原石は六角柱の形をしています。そこからなるべく効率的にカットでき、さらに角を少なくして欠けにくくするためにこのカットが生まれました。
広いテーブル面とその周りの階段状のカットが特徴的です。
ダイヤモンドのブリリアントカットのような光の反射に着目した形状ではなく、エメラルドの美しい緑色を引き立てる形状です。
ラウンドカットや表面を滑らかにしたカボションカットが施されることもありますが、昔からの代表的なカットはエメラルドカットが用いられます。